Erotical Music Review and My Ecstatic Experience.


熟成された濃密な男盛りを味わう*オイストラフ フルニエ ブラームス・ヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲

Soap.nmm.jp

ヴィンテージレコードの楽しみ

何十年もクラシック音楽を聴いてこられたオールドファンにとってダヴィッド・オイストラフはやはり特別な思い入れがあるヴァイオリニスト。

《仏カラー切手ドッグ盤》FR VSM 2C181-52289/90
オイストラフ、フルニエ クレンペラー、ガリエラ フランス国立放送管、フィルハーモニア管弦楽団
(曲目)ブラームス・ヴァイオリン協奏曲&二重協奏曲

 20世紀を代表する巨匠ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフ。1908年ウクライナ、オデッサに生まれオイストラフはソ連を代表するヴァイオリニストとして君臨しました。第2次世界大戦終了後西側での活動が本格的に始まると20世紀を代表する巨匠としての評価を確立しました。英EMIにはメジャー・レーベルとして最も多くの録音を残し、得意のレパートリーは、いずれも名演のほまれ高い演奏です。1950年代後半から60年代前半のオイストラフ絶頂期の録音。名演奏が数多くあるブラームスのヴァイオリン協奏曲ですが、中でも名盤中の名盤。
 パリ、サルワグラムで録音されたアンドレ・クリュイタンス&フランス国立放送管弦楽団とのベートーヴェンと並ぶオットー・クレンペラー&フランス国立放送管弦楽団とのブラームスは、協奏曲集の決定版。

豊潤さ、深淵さが加わり演奏家としての絶頂期

 誰もが一度はダヴィッド・オイストラフの演奏に魅了される。緩急強弱の表現すべてが万全で、安定感があり、艶やかで美しい音色でも、鬼気迫る切れ味鋭い音色でも、翳りのあるメランコリーな音色でも、人をひきつける。どんなに一流と呼ばれる人でも、作品やその中にあるフレーズとの相性の良し悪しが出ることがしばしばあるが、オイストラフにかかると、そういうことはほとんど起こらない。ヴァイオリニストの王と讃える人が多いのも当然である。
 オイストラフは録音を多く遺しているが戦争や冷戦があったために、凄まじい技術を誇っていた若い頃、思うように活動できなかったことが惜しまれる。オイストラフは1908年9月30日にオデッサに生まれ、ナタン・ミルシテインの先生でもあったピョートル・ストリヤルスキーに師事。音楽学校ではヴィオラとヴァイオリンの両方を学んだ。1924年に最初のリサイタルを開催。1935年に出場したヴィエニャフスキ・コンクールでは2位 ― この時の1位は、7月の鑑賞会で聴いていただいた、ジネット・ヌヴー ― に終わったが、1937年のイザイ・コンクールではリカルド・オドノポソフと優勝を争い、一位を獲得、これにより第一級の演奏家と認められた。戦後は西側でも活動できるようになり、各国で大成功を収め、その演奏のみならず人柄も愛されたという。かつてはフリッツ・クライスラーも、オイストラフはすべてのヴァイオリニストの中で、最も大切なものを持っている。彼が緩やかに演奏することだと評価していた。1950年代に録音されたチャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲の演奏は作品の核へ向かう切り込み方も、のびやかな美音の歌わせ方も自然かつ適切なフレージングも理想的だ。
 この1950年代の録音は、それまでのヴァイオリンの響きに豊潤さ、深淵さが加わり演奏家としての絶頂期を記録したものと言えるだろう。ソ連ないし東側の音楽家と組むときは、たいてい遠慮なく自分の音を出している。一方、西側で行われた録音は豊麗な音色や安定感のあるフレージングが際立っているものが少なくない。そんな美しい調和の成功例が、オットー・クレンペラーやジョージ・セルの指揮でソリストを務めたブラームスの録音だ。スケールが大きく、知と情のバランスがとれており技術面でも不足がない。そして、この演奏が絶賛されたことにより情熱を迸らせながらも基本的には穏健というオイストラフのイメージが確立された。

 独奏者がお互いに共演者の長所を引き出しあって、ヴァイオリンとチェロのための《二重協奏曲》はは極上という感じ。オイストラフのがっちりした構成力とフルニエの格調高い音色、優雅さが素晴らしい。この録音を大変気に入っていたオイストラフは亡くなる日にも聴いていたとか。

《ヴァイオリン協奏曲》は、1960年11月パリ、サル・ワグラムでの録音。《二重協奏曲》は、1956年2月29日&3月2-3日ロンドン、キングズウェイ・ホールでの、ウォルター・レッグ&クリストファー・パーカーによる優秀録音、名演録音。

ヴィンテージレコードのプロダクト、クレジットとノート

レコードのカバー、レーベル写真

演奏者

  • ダヴィッド・オイストラフ
  • ピエール・フルニエ

オーケストラ

  1. フランス国立放送管弦楽団
  2. フィルハーモニア管弦楽団

指揮者

  1. オットー・クレンペラー
  2. アルチェオ・ガリエラ

作曲家

ヨハネス・ブラームス

曲目

  1. 二重協奏曲
  2. ヴァイオリン協奏曲

録音年月日

  1. 1956年2月29日&3月2-3日
  2. 1960年11月

録音場所

  1. ロンドン、キングズウェイ・ホール
  2. パリ、サル・ワグラム

録音チーム

ウォルター・レッグ&クリストファー・パーカー

録音レーベル

EMI/VSM

レコード番号

2C181-52289/90

録音種別

STEREO

レーベル世代

カラー切手ドッグ

レコード盤枚数

2枚

製盤国

FR(フランス)盤

レコードのディテール

英国ではブルー・アンド・シルヴァー盤として高額な盤の、フランス発売2枚組。後発と言え微塵も劣化感じないのはパテ盤の所為か優れたプレスです。

Brahms Excellence

Brahms Excellence

Arra

EMI Classics