9月20日の録音史ブリーフィング
9月20日は、今回確認できた資料の範囲では、クラシックの著名な商業録音で、この日単独のセッション日を複数資料から確定できる例は見つけにくい日でした。そこで、録音日が具体的に確認できる初期カントリー/ブルース系の記録と、スタジオ音響の観点から興味深いジャズ・セッションを取り上げます。発売日ではなく、実際の録音日を優先しています。
1926年9月20日|チャーリー・プール&ノース・カロライナ・ランブラーズ「White House Blues」
演奏者:チャーリー・プール&ノース・カロライナ・ランブラーズ
録音場所:今回確認した資料では特定できず
この録音は、1926年9月20日に行われたものとして記録されています。時事的な題材を持つバラッドを、アメリカ南部の弦楽合奏と個性的な歌唱で固定した例で、後のブルーグラスやカントリー音楽が形成されていく前史として重要です。ニュース性のある歌が、新聞や口承だけでなく、レコードという物体によって反復可能な記憶になったことにも意味があります。古い78回転盤や復刻LPでは、フィドル、バンジョー、声が一つの中域の塊として押し出される、初期録音媒体ならではの密度を味わえます。録音日は資料上明記されていますが、録音場所の確認度は低めです。(Big Train and the Loco Motives)
1955年9月20日|ジョン・メヘガン『Reflections』
演奏者:ジョン・メヘガン(ピアノ)
録音場所:ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ、ハッケンサック(ニュージャージー州)
収録曲:「The Song Is You」「Lullaby of Birdland」「Every Time We Say Goodbye」「My Heart Stood Still」「Nice Work」ほか
ヴァン・ゲルダーのセッション記録には、1955年9月20日の録音としてこの曲群が掲載されています。大編成の華やかなジャズではなく、ピアノを中心に旋律と和声の輪郭を整えるタイプの録音で、ハッケンサック期のスタジオが、ソロ楽器の発音と余韻をどれほど近く捉えられたかを考える材料になります。音楽史的には、ブルーノートやプレスティッジ周辺で確立されていく**小編成ジャズの「近接した音像」**の一例です。LPで聴くなら、ピアノの打鍵の芯と、音が消えた後に残る部屋の気配に注目したい録音です。録音日・場所・曲目の対応は、セッション・カタログ上かなり明確です。(Jazz Disco)
クラシックについて
9月20日には、録音期間の一部としてこの日を含む演奏や、放送・ライヴ資料は存在しますが、今回の条件である**「9月20日に実際に録音され、作品名・演奏者・場所を複数資料で同時に確定できる著名なクラシック盤」**は採用に足る形では確認できませんでした。日付の精度を優先するなら、今日は無理にクラシックの発売日や録音月だけの情報を加えないほうが適切です。

今日の聴きどころ
9月20日は、時事的な歌が民衆の記憶になる瞬間と、小さなスタジオでピアノの位置と余韻が整えられる瞬間を聴き分ける日です。チャーリー・プールでは、録音媒体そのものが粗いながらも強い共同体の声を保存します。ジョン・メヘガンでは、ヴァン・ゲルダーのマイクが鍵盤の発音を近くに置き、音の消え際まで一つの構造として残します。前者が「時代の歌を保存する録音」なら、後者は「楽器の距離を設計する録音」と言えるでしょう。
9月20日の録音日ブリーフィング
The Beatles — “Piggies”
- 録音日: 1968年9月20日
- レコード/作品名: The Beatles(通称『ホワイト・アルバム』)
- なぜ有名・重要か: ジョージ・ハリスン作の風刺的な楽曲です。9月19日に録音した基本トラックへ、翌20日にリード・ボーカル、ダブルトラック、バッキング・ボーカルなどのオーバーダブが加えられ、完成形へ進みました。ビートルズ後期の実験性と、社会風刺を取り入れた作風を示す代表曲です。(The Paul McCartney project)
The Doors — “Light My Fire”(ライヴ録音)
- 録音日: 1968年9月20日
- レコード/作品名: Live at Konserthuset, Stockholm September 20, 1968
- なぜ有名・重要か: ストックホルム公演での演奏を収録した歴史的ライヴ音源です。スタジオ版で広く知られる代表曲を、長尺の即興性とライヴ特有の緊張感を伴う形で聴ける点に価値があります。公演全体の記録は、後年公式ライヴ作品としてまとめられています。(Apple Music – Web Player)
Diana Ross & the Supremes — “Love Child”
- 録音日: 1968年9月20日を含むセッション(9月17日・19日・20日)
- レコード/作品名: シングル「Love Child」/アルバム Love Child
- なぜ有名・重要か: 全米1位を獲得した、シュープリームス後期の代表的ヒットです。録音は複数日にわたって行われ、9月20日もその一部でした。モータウンが社会的テーマをポップ・ソウルの大ヒットへ結びつけた例として重要です。(Wikipedia)
今回は、スタジオでの追加録音、歴史的ライヴ、複数日にわたるヒット曲制作という3種類の録音記録を選びました。
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