9月16日の録音日ブリーフィング

The Beatles — “I Will”

  • 録音日: 1968年9月16日
  • レコード/作品名: The Beatles(通称『ホワイト・アルバム』)
  • なぜ有名・重要か: ポール・マッカートニーが書いた簡潔で親密なラブソングで、ビートルズ後期の作品の中でも特にメロディーの美しさで知られています。9月16日のセッションでは、この曲の録音が行われました。(The Paul McCartney project)

The Beatles — “Glass Onion”

  • 録音日: 1968年9月16日
  • レコード/作品名: The Beatles(通称『ホワイト・アルバム』)
  • なぜ有名・重要か: ジョン・レノンが過去のビートルズ楽曲を歌詞の中で意図的に参照した、自己言及的で遊び心のある作品です。9月16日には追加録音が行われ、完成へ向けて仕上げが進められました。(The Paul McCartney project)

Paul McCartney — “So Bad”

  • 録音日: 1982年9月16日
  • レコード/作品名: Pipes of Peace
  • なぜ有名・重要か: ポール・マッカートニーの1980年代を代表する穏やかなバラードの一つで、アルバムの中でも特に内省的な雰囲気を持つ楽曲です。1982年9月16日のセッションで録音されたことが確認できます。(The Paul McCartney project)

今日は、1968年のビートルズによる『ホワイト・アルバム』関連の2曲と、1982年のポール・マッカートニー作品を選びました。特に9月16日は、ビートルズのアルバム制作の現場を具体的にたどれる録音日です。

9月15日の録音史ブリーフィング

9月15日は、クラシックではホルスト《惑星》の「木星」、ジャズでは**コルトレーンの『Blue Train』**が、録音日を特定しやすい重要例です。発売日ではなく、実際のセッション日が9月15日であることを優先しています。

1925年9月15日|ホルスト《惑星》より「木星」
演奏者/指揮者:ロンドン交響楽団/グスターヴ・ホルスト
録音場所:Petty France Studios, London
録音日:1925年9月15日(「木星」)
《惑星》の全曲完成録音に先立つ、電気録音期の重要な断片です。ホルスト自身の指揮による《惑星》の初期録音群は、作品がまだ「近代の管弦楽曲」として定着していく途中にあったことを伝えます。音楽史的には、巨大な管弦楽の色彩を、当時の録音技術がどこまで記録できたかを考える手がかりになります。音域とダイナミクスには制約がありますが、歴史的LP復刻では、古い電気録音特有の中域の密度と、金管・打楽器の凝縮した輪郭に価値があります。録音日と曲目の対応はディスコグラフィー上、比較的明確です。(Wikipedia)

1957年9月15日|ジョン・コルトレーン『Blue Train』
演奏者:ジョン・コルトレーン(ts)、リー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
録音場所:Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
コルトレーンのブルーノート時代を代表する一枚で、ハード・バップの形式感と、彼が後に切り開くより急進的な語法の間に位置します。とりわけ「Moment’s Notice」「Lazy Bird」には、作曲家としてのコルトレーンの進展がはっきり現れます。ヴァン・ゲルダーの近接マイク録音によって、テナー・サックスの発音、リー・モーガンの金管の輝き、フラーのトロンボーンの厚みが前景化されます。オリジナル系LPでは、各楽器が近くに立ちながら、リズム・セクション全体が一つの推進体になる音場が聴きどころです。録音日は複数のジャズ資料で一致しており、確度は高い部類です。(Wikipedia)

1959年9月15日|ニーナ・シモン『At Town Hall』
演奏者:ニーナ・シモン(vo, p)
録音場所:Town Hall, New York
録音曲:「Under the Lowest」「Summertime」「Return Home」「Wild Is the Wind」など
これはスタジオで整えられた歌唱ではなく、ホールの空気と、シモンの声・ピアノ・沈黙が同時に記録されたライヴ盤です。クラシックの歌曲、ブルース、ゴスペル、ジャズの境界を個人の表現へ折りたたみ、後のソウルやシンガー・ソングライター的表現にもつながる強度を持っています。録音日がトラック情報に具体的に残されている点も重要です。LPでは、声の前後感と、ピアノの打鍵がホールの暗がりに落ちていく余韻を味わえます。(Audiomack)

1965年9月15日|ベン・ウェブスター『Blue Light』収録セッション
演奏者:ベン・ウェブスター(ts)ほか
録音場所:資料上、録音地の詳細は今回確認できず
録音日:1965年9月13日・15日
ウェブスター晩年の、バラードとスタンダードを中心とした録音です。9月15日のセッションは、彼のテナーが技巧の誇示ではなく、息の量、音の重さ、フレーズの終わり方そのものを表現に変えていく時期を示します。『Blue Train』が「発音と推進」を聴かせるなら、こちらは音の表面がほどけるまで待つ音楽です。LPでは、サックスの太い中低域と、弱音の微細な揺れが魅力になります。日付は録音データで確認できますが、曲目ごとの割り振りは『Blue Train』ほど一義的ではありません。(AllMusic)

今日の一枚

今日の中心は、やはり**『Blue Train』**です。1957年9月15日、ハッケンサックの小さなスタジオで、六人の奏者が一つの音場に集まりました。コルトレーンのテナーは近く、フラーのトロンボーンは厚く、モーガンのトランペットは輪郭を保ったまま上方へ抜けていく。ここでは、演奏だけでなく、ヴァン・ゲルダーが各楽器をどの距離に置き、どの瞬間を前へ出したかまでが、作品の構造として聴こえてきます。(Wikipedia)

サミュエル・バーバー《アントニーとクレオパトラ》

9月16日の録音史ブリーフィング

本日は、9月16日が実際の録音日として確認できるセッションを優先しました。クラシックでは、9月16日のライヴ収録として記録が残る作品と、複数日にわたる商業録音の一部を区別して紹介します。

1966年9月16日|サミュエル・バーバー《アントニーとクレオパトラ》
演奏者/指揮者:メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、レオンティン・プライスほか
録音場所:メトロポリタン歌劇場(ニューヨーク)
録音日:1966年9月16日、初演ライヴ
バーバーがメトロポリタン歌劇場新館のために書いた大規模なオペラで、初演そのものが録音された記録です。作品は後世に《ヴァネッサ》ほど定着しませんでしたが、アメリカの作曲家がメトの舞台で、シェイクスピア劇と巨大なオペラ装置を正面から結びつけた歴史的事例です。放送・ライヴ録音としては、スタジオ盤の整然さより、歌手とオーケストラが舞台上で同時に動く空気を聴く資料価値があります。日付の確度は高いものの、現存盤の流通形態はCD・映像資料が中心です。(Apple Music – Web Player)

1971年9月16日|キース・ジャレット『First Light』
演奏者:キース・ジャレット、フレディ・ハバード、ゲイリー・バートン、マイルス・デイヴィスほか
録音場所:Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
録音日:1971年9月15日・16日
ジャレットの初期コロンビア期を代表する作品で、ジャズの即興性に、弦楽・管楽器を含む大きなアンサンブル感覚を持ち込んだ録音です。9月16日は複数日にわたるセッションの一日として確認され、単独曲の割り当てまでを完全に切り分ける資料は限定的ですが、日付自体の信頼度は比較的高い部類です。ヴァン・ゲルダーの近接した明瞭さと、電気楽器・管楽器の層が重なるため、1970年代初頭のジャズ録音が「小編成の会話」から「音響空間の設計」へ進んだ例として聴けます。オリジナルLPでは、楽器の前後関係と中低域の厚みが重要です。(Wikipedia)

1969年9月16日|イリノイ・ジャケ『The Blues; That’s Me!』
演奏者:イリノイ・ジャケ
録音場所:Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
このセッションは、ヴァン・ゲルダー・スタジオの記録に1969年9月16日として掲載されています。ジャケはスウィング期のテナー・サックスを、戦後のソウル・ジャズ的な重量感へ接続した奏者で、この録音にも、ビッグバンド時代の豪快さと、近接マイクが捉える太い発音が同居します。音楽史的には、古典的スウィングの語法が1960年代末にもなお生きたまま、より濃いスタジオ音響へ移植されていたことを示します。LPでは、テナーの押し出しとリズムの低い重心が聴きどころです。(Encycloreader)

1952年9月16日|チャールズ・ミンガスのデビュー期録音
演奏者:チャールズ・ミンガス、マックス・ローチ、ジャッキー・パリスほか
録音場所:ニューヨーク
録音日:1952年9月16日
ミンガスの初期デビュー録音群の一部が、この日にニューヨークで記録されています。後年の『Pithecanthropus Erectus』や『The Black Saint and the Sinner Lady』ほど完成された作曲家像ではありませんが、ベース奏者にとどまらず、編曲・集団構成・政治的な表現を担う作曲家へ向かう過程を聴くことができます。録音場所は都市名までの確認にとどまり、曲目とアルバムへの対応は資料によって異なります。そのため、日付の確度は高め、作品同定の確度は中程度と見るのが妥当です。(Wikipedia)

今日の聴きどころ

9月16日は、舞台そのものを保存するクラシックのライヴ録音と、ヴァン・ゲルダーが楽器の輪郭を前景化するジャズ録音が並びます。クラシックなら、まずバーバーの《アントニーとクレオパトラ》。完成度だけでなく、1966年9月16日のメトロポリタン歌劇場で、アメリカ・オペラの大きな夢が実際の声とオーケストラになった瞬間を聴く録音です。ジャズでは『First Light』が、音の配置と響きの重なりそのものを作品化した一枚として面白いでしょう。(Apple Music – Web Player)


soap museをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

Comments are closed