Erotical Music Review and My Ecstatic Experience.


ヒューマンな抒情に陶酔◉人が成す奇跡の証明 ジョン・バルビローリ指揮ベルリン・フィル マーラー・交響曲第9番

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複雑膨大な作品の構成因子それぞれに指揮者の配慮が濃やかに反映され、長大な作品のどこにも空虚な瞬間が感じられない。

《最高のオーディオファイル盤, 高価な英盤と全く同じ一面半収録》
JP 東芝音楽工業 AA9076B バルビローリ&ベルリン・フィル マーラー 交響曲9番

1964年1月10~11日、14日、18日ベルリン、イエス・キリスト教会での優秀録音、名演。

 マーラーの交響曲第9番はベルリン・フィルにとって曰く付きの曲と言っていい。1963年にバルビローリが客演指揮した際、ベルリン・フィルの楽団員がその音楽の素晴らしさに感動し、楽団員全員の希望により実現したのがこの録音。
バルビローリの特徴であるオーケストラの暖かい音色を、あのベルリンから引き出しながら、マーラーの晩年の心境をヒューマンな共感をもって紡いでいきます。客観的な楽曲の構築と正確なテンポ設定に裏づけされた演奏だと思います。そしてまた、一人の指揮者の音楽に対する共感が、オーケストラという人間の集団を魔法に包んだ奇跡の証明盤。
ドイツ・グラモフォン専属であったベルリン・フィルが当時 EMI に録音する事は極めて異例なことで、またイギリス人の指揮者がベルリン・フィルと録音するのは、1937年のビーチャム以来の事であったそうです。バルビローリ自身もこれがベルリン・フィルとの唯一の録音となりました。そして、この録音を凌駕する演奏はまず有り得ないという事で、その後どの指揮者もこの曲を意識的に避けるようになったという「伝説の名演」だという事です。

オーケストラの習性を刺激して、バルビローリからマーラーを吸収させた無二の録音

 バルビローリはイギリスのハレ管弦楽団の指揮者をしていた。このハレ管、またフィルハーモニア管弦楽団やロンドン交響楽団との録音を英EMIに多くしている。演奏に限ってはドイツでベルリン・フィルにはたびたび客演して、マーラーを振っていた。
このマーラーの9番は1964年の客演のときに振った。この時の演奏が名演でのちに語り草となった。オーケストラ側は、バルビローリにレコード録音を要望し、このレコード録音が実現した。当時、ウイーン・フィルもそうだがベルリン・フィルもマーラーの演奏経験は多くなかった。そうしたオーケストラの習性のような好奇心を刺激したのだ。
ベルリン・フィルやウィーン・フィルともなると、ベートーヴェンやブラームスの演奏やレコードは数知れず。カラヤンの後任にアバドを選んだり、その後にラトルに決まったのも、カラヤンがベートーヴェンを何度も録音し直すことにはうんざりしていたけれども、バロック音楽のレコードに取り組めたりと新鮮さが楽しい物のようです。

録音:1964年1月10~11日、14日、18日ベルリン、イエス・キリスト教会での優秀録音、名演。

ヴィンテージレコードのプロダクト、クレジットとノート

オーケストラ

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮者

ジョン・バルビローリ

作曲家

グスタフ・マーラー

曲目

交響曲9番

録音年月日

1964年1月10~11日、14日、18日

録音場所

ベルリン、イエス・キリスト教会

録音レーベル

東芝音楽工業

レコード番号

AA-9076B

録音種別

STEREO

レーベル世代

東芝EMI前身東芝音楽工業製

Stamper

英国EMI盤同一輸入メタル 2YRA 原盤使用盤 最初期スタンパー

レコード盤枚数

2枚

レコード盤重量

160㌘

製盤国

JP(日本)盤

ノート

最高のオーディオファイル盤, 高価な英盤と全く同じ一面半収録。

東芝音楽工業製の日本国内初出盤

1955年10月 ― 東芝の前身東京芝浦電気が音楽レコード事業に参入。同社がレコード事業を開始後の数年間は、英EMI、米キャピトル原盤の音源は本国からの輸入メタル原盤からプレスしたソフトが多かった。
1960年10月 ― 音楽レコード事業部門が分離独立して東芝音楽工業株式会社が設立。
1971年10月 ― 静岡県御殿場市に最新鋭の生産機能を取り入れた御殿場工場開設。
1973年10月 ― キャピトルEMIが資本参加、東芝イーエムアイ株式会社(東芝EMI)と改称。