soap muse

Erotical Music Review and My Ecstatic Experience.


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人道主義の名匠、最後の日

演奏は先にも触れたように決して技巧や美音の魅力に溢れたものではないが、細部まで美しく彫琢された、磨きぬかれた輝かしい音色、ニュアンスに富んだ表現力、優れた音楽性で水準の上を行く演奏を聴かせています。

メニューインは十代を頂点に技術の劣化をいわれる。幼児期の技術的基礎訓練の不足をそのままに成人してしまった、という側面がある。幼いころから神童と言われ十代で一流の評価を受けてしまった演奏家は、マイケル・レビンの例にも見られるように、ある時スランプに陥り袋小路に入り込んでしまうことが多いが、メニューインの場合、幼児期より芸術的感受性に非凡のものを持っていた彼は、他の天才型の演奏家と異なり技巧や美音よりも精神性に関心を向けることで、それを克服していった感がある。1951年にはインドに渡りヨーガの手ほどきを受けて導師B.K.S. アイアンガー(Bellur Krishnamachar Sundararaja Iyengar, アイアンガーヨガの創始者)から独特の姿勢の取り方をいくつか教えられ、その結果、ヨーガ ― 無限なるものとの《結合》 ― を文字どおり体得したのである。それと同時に改めてヴァイオリン演奏の原点にまでさかのぼり、それまで本能的に身につけていた芸術性と技巧を意識的に分析し検討しはじめたのだった。そして弾き振りでモーツァルトのヴァイオリンと管弦楽曲のため音楽を一連として録音した。それらは現代のモーツァルト研究の風潮から、あまり世評が高くないが繰り返し聴き続けられるのは、指揮者を介さずに弾き振りをすることで他の指揮者の精神に融合する必要を廃して、無邪気に音楽を楽しんでいるメニューインの演奏に高い倫理性と知性を感じるのが大きな理由だろう。

この一連のモーツァルトのヴァイオリンのための協奏曲の演奏は1960年代、彼のインド行から10年を経たころのもので、当時自らが主宰していたバース音楽祭の管弦楽団と指揮も兼ねて演奏したものだ。演奏は先にも触れたように決して技巧や美音の魅力に溢れたものではないが、メニューインはその少年時代に師のジョルジェ・エネスコの指揮で録音しており、また1954年にはジョン・プリッチャード指揮フィルハーモニア管弦楽団と「第4,5番」を録音している。そして本盤。このバース音楽祭管弦楽団盤と聴き継いでいくとメニューインの音楽が次第に穏やかなものに変化していくのがよくわかる。この〈平和な〉音楽はメニューインならではのもので、弾き振り ― 弾き振りはこれがはじめてだったと思うが ― の良さが生かされた対話に溢れた演奏となっている。

往年の巨匠の時代。クラシック音楽の演奏家は国策に利用され、レコード音楽は政治や社会と関わりがあった。メニューインは平和運動に極めて関心があり、実際にアメリカのユダヤ人社会を敵に回す事を承知でヴィルヘルム・フルトヴェングラーを援護したり、ユダヤ人でありながらイスラエルのパレスティナ政策を批判しています。それを極めて勇気のある政治的行動だと声を上げて良いか、悪いか、肌に感じながらメニューインのレコードを聴いて応援していたことでしょう。1960年代はレコード録音史の上で最も収穫のあった時期で、世代交代や価値観の転換など新鮮で興味深い出来事が次々に起こっていた。もちろん、演奏というものは常に時代を反映して塗り代えられていくもので、それは今日でも変わらない。時代を先取りしていく才能ある演奏家はいつでもいるが、1960年代は戦後の新しい世代の台頭がステレオ再生装置の普及と高度経済成長の波に乗って、正に百花繚乱の観があった。巨匠時代の終焉が「1960年代」なのですが、1970年代末にCDが登場。程なくして平成バブルを迎えると1960年代の録音を聴き直す人は少なかったと思います。「温故知新」を求めて「1960年代」の演奏を聴くということの意味は当時もありましたが、今では、更に積極的な意味があるかも知れません。

アメリカVICTORレコードに12歳で初録音。指揮者が少年の方に手を置いている写真は、13歳のメニューイン。戦前の5大指揮者、ブルーノ・ワルターがベルリンで活躍していた時代。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でソロで共演した最年少記録だ。

楽譜を開いている少年が、孫と老人の記念写真に見えてくるエルガーの協奏曲のレコード表紙はあまりにも有名だ。のちにステレオ録音でボールドと再録音する際、同じ構図で表紙が撮影されている。

メニューイン兄妹

“Yehudi”は、ヘブライ語で「ユダヤ人」を意味する。日本でメニューインのレコードが最初に発売された頃に日本ビクター蓄音器が「ユーディ・メニューヒン」と紹介。NHKでは「イェフディ・メニューイン」としている。

妹ヘプシバはピアニストで、しばしば兄妹で共演し、室内楽の録音を行った。伴奏役として、忙しい兄のスケジュールにつきあわされることに不満をこぼしたインタヴューもあったが、評価できる腕前の証左、ソリストとしてピアノ協奏曲のレコードもある。もう一人の妹ヤルタもピアニスト。

人生の最後にダニエル・ホープを育て上げた。ダニエル・ホープは1974年南アフリカのダーバンに生まれたイギリス人ヴァイオリニスト。10歳のときにコントラバスのゲイリー・カーとテレビで共演、翌年ユーディ・メニューインに招かれドイツのテレビで共演。以来メニューインと60回以上の共演を重ねる。現代音楽の分野での評価が高いが、ジャズやポピュラー、ワールド・ミュージックのアーティストとの共演も多い。また、音楽と言葉の結びつきなどのコンセプトでの企画への脚本、演奏での参加など非常に多岐にわたった音楽活動を展開している。また、ラジオやテレビの司会者としても人気がある。

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